年間5万件近い廃業が続いているという事実

中小企業庁の調査によれば、2006年に421万件あった企業の件数が、2016年には359万件にまで減少しています。また株式会社東京商工リサーチの2020年「休廃業・解散企業」動向調査によれば“2020年(1-12月)に全国で休廃業・解散した企業(以下、休廃業企業)は、4万9,698件(前年比14.6%増)だった。これまで最多の2018年(4万6,724件)を抜き、2000年に調査を開始以降、最多を記録した。”となっています。このままだと、廃業が急増し、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています(「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」 中小企業庁2019年発表)。廃業の問題は、このまま放置しておくと、日本の経済力に深刻な影響を与える社会課題であると言えます。

苦境に立たされる経営者

2020年以降、コロナウィルスが与えた経済に対する影響は計り知れない規模となっています。経営基盤の弱い中小企業は、今まであった市場・顧客基盤が喪失するという事態に直面しています。コロナ融資や補助金などの施策によって、なんとか命脈を保っている企業が多いと言わざるを得ません。コロナ融資の据置期間が終了し、返済がスタートする事によって資金繰りが苦しくなる企業が増える事が想定されます。多くの経営者は会社を守る為に、最終局面まで無理な借入をしていまいます。無理な借入が経営破綻の糸口となります。

会社を手放す事に対する社会の偏見

日本は海外の諸国に比べても業歴の長い企業の件数が多いと言われています。また、社会の中で「会社出来るだけ長く続けていくべきもの」という認識があると言えます。そうした社会通念の中から、親から引き継いだ会社を自分の代でつぶす訳にはいかないという思いを持った後継ぎ経営者が無理な借入を重ねて会社をたたむ事になってしまった経営者の話も少なくはありません。また、従業員の事を思い、取引先の事を思い、お客様の事を思って自身の資産を会社の為に投入し続け、経済面でも精神面でも大きな痛手を負ってしまった経営者の例も数多くあります。このような苦しい判断をしてまで会社を続けるという事を創業者はよしとするでしょうか。答えはノーであると私たちは思います。行き先が不透明な今の時代だからこそ、適切なタイミングで会社を手放す事によって、経営者が良きネクストステップに繋げていく為の仕組みが必要になります。